少年野球のキャッチャーについて(特徴・求められる能力・練習方法)

top画像
※この記事にはプロモーションが含まれています。
記事の目次

親御さんや兄弟の影響でもないかぎり、小学生の時分からキャッチャー志望の子は、まずいないと思います。

基本的に、チームにおいて監督から“XX君!今日からキャッチャーやるぞ”と言われることが、キャッチャー人生への入り口でしょう。

キャッチャーの特徴

ひと言で言うと、キャッチャーはつらいポジションです

キャッチャー用ヘルメットキャッチャーマスクプロテクターレガースといった、他のポジションにはない多くの特殊防具をつけて練習や試合に出るので、半端なく疲れます。また、夏場は当然ひどく暑いです。練習の行き帰りには、重い道具類を運ぶ必要も生じます

このため、昔からキャッチャーのイメージと言うと、いかにも力持ちっぽい“太っている子”が定番でしたが、最近では“横へ敏捷性”や“ボールを怖がらない勇気”を買われて指名される子が増えています。

また、キャッチャーは『扇の要』とも呼ばれるように、内野の中心として守備位置や連係プレーにおいてリーダーシップを発揮します。常に球場全体を見渡せる位置から状況に応じてナインを鼓舞するので、一般的には監督からの信頼が厚く、声の大きい元気な子が任されます。

キャッチャーに求められる能力

技術面で具体的にキャッチャーに求められる能力は、キャッチングスローイングです。

キャッチャーは、多いときに1試合で70~100球ほどピッチャーの球を受けますが、その都度ポロポロやっているのでは話になりません。ピッチャーがせっかく三振に仕留めても、キャッチャーが落としたら振り逃げになってしまいます。ランナーが出てからポロポロすると、今度は進塁されてしまいます。3塁までランナーが進んで、さらに後逸するとノーヒットで1点献上です。いかにキャッチングが重要であるか、お分かりいただけたでしょうか?

また、スローイングも重要です。少年野球でランナーが出たら、監督がまず考えるのは盗塁です。

相手ピッチャーの牽制とキャッチャーの肩(2塁送球)を考慮して、今出塁している走者のスピードで2塁に盗塁できる可能性を見極めます。このジャッジにおいて最も重視するのは、キャッチャーの肩です。ここでいう“肩”とは、正確に2塁なり3塁なりのベース上方に投げられるコントロールのことを指します。いくら速い球を投げられたとしても、とんでもない方向に投げてしまっては、走者をどんどん先の塁に進めてしまい、逆効果だからです。

各イニングの守備が始まる際、『しまっていこうぜ!』とナインに声かけするのもキャッチャーの役割です。ここで元気な声だしができないと、チームの守備に勢いが出ません。

内野手への指示も重要な役割です。走者がいる時に打者が内野ゴロを打ち、捕球者の送球する選択肢が複数ある場合、ピッチャーなどの内野手に対して送球先の指示を的確に出すのも大きな役目です。

ファーストに投げて1アウト確実に取るのか、セカンドに投げてフォースアウト若しくはダブルプレーを狙うのか。時にはサードへ投げる場合やバックホームが必要な場合もあります。打球の勢いと走者のスピードを瞬時に判断して、キャッチャーの判断で送球先を指示するのです。

その他、精神面でキャッチャーに求められる最も重要な資質は“ボールを怖がらない”ことです。いかに軟式ボールとはいえ、当たれば痛いです。防具のない肘や腿に打球を受けることもあります。

しかしキャッチングやスローイング以前に、ボールを怖がっている子にキャッチャーは出来ません。その為にキャッチャー特有の4つの防具をつけることを認められ、さらに大会によっては、“ファウルカップ”と呼ばれる股間の急所を守るカップの使用を義務付け、安心を担保しているのです。

キャッチャーの練習法

キャッチングは基本が大事です。基本練習を怠っていると必ず痛い目に遭います。

姿勢、構え方、ミットの出し方について、まずコーチに基礎から教わってください。その指導の中で私が最も重視していることは、いかにして投球を“後逸しないか”ということです。

後逸しないで胸に当てて前に落としさえすれば、走者は進塁を自重する可能性が高く、3塁ランナーは間違いなく突っ込んで来られません。そのためにはワンバウンドや横にそれた投球に対して、“体を持っていく”という練習を繰り返ししなければなりません。慣れないうちは、とかくミットだけで捕りに行くので、ワンバウンドなどに対応できず後逸してしまうからです。

盗塁に対する送球練習も必須です。ピッチャーの投球スピードは一朝一夕で速くはなりませんので、私のチームでは、キャッチャーが捕球してから投げるまでの時間を短縮する練習をします。

そして捕ってから投げるまでの時間を縮めるには、“投げる体勢に近い形で捕る”ことが必要で、それを体感的に覚えこませる目的で反復練習します。このスピードを求めるあまり、ミットを前に出しすぎてバットで叩かれて、“打撃妨害”をとられる事もありますので、この練習を行う際は打席に打者を立たせて、バットを振らせながら行います。

その他、良いキャッチャーになるには、ブロックの練習も必要です。これは、本塁上でのクロスプレーの時に、レガースを用いてホームベースをブロックする(守る)練習の事を指します。

ただ、昨年からプロ野球でも“コリジョンルール”というのが実施されており、地域によってはそれに近いことが適用されていると聞きますので、正しいブロックの仕方は各チームで指導者から教わってください。

また、ピッチャーとのサインの交換も重要な練習です。小学生は変化球禁止ですので、基本的に球種は速球とスローボールくらいしかありませんが、コースや高さ、ウエスト(スクイズ外し)など、ピッチャーとのサインを綿密に連携することでゲームを有利に展開していきます。

まとめ

繰り返しになりますが、キャッチャーはつらいです。でも逆に希望者が少ないので、競争相手は少ないでしょう。これは経験者が少ないという結果に繋がるので、高校野球など上にステップに行けば行くほど、ベンチ入りやレギュラー争いで有利になるともいえます。

盗塁を試みたランナーを、息子が投げる矢のような送球で刺す。これも親としてたまらない瞬間であることを、最後に付け加えておきます。

この記事をシェアする