少年野球に向いている子・向いていない子

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記事の目次

少年野球チームの監督を12年もやっていると、色んな子供と出会います。その中で、筆者が彼ら彼女らに対して感じた“少年野球に対する適性”について、ここでご紹介します。

身体的条件

過去、わがチームには「ものすごく大きい子」や「ものすごく小さい子」、「ものすごく太っている子」や「ものすごく痩せている子」といった様々な身体的な特徴を持った子がいました。

背の高い子

好条件ということでいえば、少年野球において背が高い子は圧倒的に有利です。小学生で170cm以上あるような子も時々いますが、私ならピッチャーファーストにします。

そして、少し投げさせてみてストライクが入るようなら、間違いなくピッチャーにします。プロでもよく2m超えの投手の投球について「2階から投げ下ろすようだ」という表現を使いますが、少年野球の170cm以上の投手による投球がまさにそれと同じで、150cm前後の6年生にとって、まさに「2階から投げ下ろされる」ように感じます。

これは感覚だけの問題ではなく、昨今の少年野球の指導者達が唱える打撃理論にも影響されています。“レベルスイングでセンター返し”によって基礎を作るか、“ダウンスイングで飛距離を伸ばすか”という指導が主流なので、高い位置から投げ下ろされる投球に対しては、物理的にもミート率が低くなるのです。だから、背の高いピッチャーは少年野球でも有利なのです。

そして、その背の高い子が残念ながらあまりコントロールがよくない場合は、ファーストにします。少年野球におけるファーストの重要性は、非常に高くなっています。試合において、いくらサードやショートがファインプレーで捕球しても、送球されたボールをファーストが捕り損ねたのでは意味がありません。

実際、少年野球の内野手はまだスローイングが安定していないので、ワンバウンド送球やとんでもない方向に送球したりする場面が頻発します。そんな時、背の高いファーストはその体をいっぱいに伸ばして上や横にそれた球を捕球することで、間一髪アウトにすることができます。セーフになるか否かで1試合あたりヒット4~5本分違うこともあります。また1塁への送球を捕球できないと、ボールは1塁側ファールグラウンドを転々と転がり、2塁打や3塁打、広い球場の場合はホームまで帰って来て1点献上…ということさえあります。だから、世の監督はみな“背の高いファースト”がほしいのです。

背の低い子

その反対に近年、背が低い子や痩せている子が増えています。昔よりも食生活は向上しているはずなのに?という疑問がつきまといますが、これは体質のせいだけでなくジャンクフードの暴食や、全てに過保護な家庭での生活がもたらした弊害だと思います。

ここまでの話で、背が高い子が少年野球において有利なら、背の低い子は普通、不利だと思うでしょうが“不利=ダメ”ということではありません。かくいう我が家の長男も、小学校・中学校での背の順はクラスで一番前でした。

それでも野球が大好きだったことと足が速かったお陰で野球を続け、中学ではキャプテンも任されました。高校では野球強豪校に進学したのでかなり苦労しましたが、こつこつと練習した結果、外野守備における守備範囲の広さと、打撃におけるバントヒットの高い成功率を買われて見事にレギュラーを勝ちとり、なんと甲子園にもスタメン出場してヒットを打ちました。要するに小学校時代の身長は、野球人生全体で見るとあまり気にすることはないということです。

太っている子

一方、太っている子はどうでしょうか。
彼らは総じて足が遅いという難点こそありますが、肩が強いとかパワーがあるという他の長所を生かして、キャッチャーであるとか、内野でも比較的動きの少ないサードで活躍する選手も多くなっています。

足が速い子

体系に関わらず、足が速い子は野球に向いています。ただ、そうはいっても足の速い子はサッカーや他のスポーツでも引っ張りだこなので勧誘の時点から大変です。

野球ではよく「足にスランプはない」といいます。ピッチングやバッティングには調子の波があるが、足の速さは恒常的なものだ…ということですが、少年野球でも強いチームは大抵、足の速い1・2番バッターをそろえています。足の速い子は、それだけでスタメンで出場できる確率が高いということもできます。

家庭環境

それぞれの人生がありますから、家庭環境も様々な子が揃います。

父親が野球選手

私のチームにも「お父さんがプロ野球選手」の子が何人かいました。オフの日にはそのお父さんに練習のお手伝いなどをしていただきましたが、子供はみな卒団を待たずに退団して硬式野球に行ってしまいました。よって、その後のことはわかりませんが、親の期待、本人のプレッシャーは並大抵ではないようで、また周りの子供に与える影響も決して良いものばかりではありませんでした。

片親の子

昨今、死別、離婚など紆余曲折を経た親御さんの子がチームに入ってくることはかなり多いですが、特に「片親」だからどうこうということはありません。但し、父親のいない子は監督・コーチの愛のムチが、その後の人間形成に大きく左右します。その意味では、両親が揃っている子よりも入団するチームを慎重に選ぶ必要があるかもしれません。

ハーフの子

「ハーフの子」も何人かいました。日本人に比べて体格もいいし目立つので、相手チームからマークされます。(見掛け倒しの選手もいます)能力以前に言葉の問題で指示や指導がうまく伝わらない時には、非常に困ります。「何のためにこの練習をするのか?」がうまく伝わらなかったハーフの子は、残念ながらチームを去っていきました。

兄弟が同じチームにいる子

「兄弟が同じチームにいる子」は、一人っ子が多い最近でもよくあります。親御さんが「お兄ちゃんがお世話になったから弟も…」というパターンが殆どですが、まれに双子の子もいます。野球をやっている兄弟は、比較されることを最も嫌います。それがよい方に傾いて切磋琢磨すればいいですが、大抵兄弟げんかの種が増えるだけのようです。チーム内では普通の子と同様の線引きしかできないので、ご家庭ではそのつもりで覚悟してください。

まとめ

このように、背が高いとか足が速いことは少年野球をやる上で“有利”にはなります。ただ、「野球に向いている」「野球に向いていない」というのを体格だけで論じることには所詮無理があります

「お父さんがプロ野球選手」「片親の子」「ハーフの子」などの家庭環境も、少年野球をやる上では援助にも障害にもなりません。それよりも大切なのは「誰よりも野球が好きだ!」というその子自身の気持ちなのです。いくら背が高くて足が速くても、途中で野球をやめてしまったら意味がないのですから。子供自身がずっと野球を続けたいと思えるような、そんなチームを探して入団してください

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