チームを退団したい時のベストな対応
何らかの理由で、貴方のお子さんがチームを辞めることになりそうです。
ここでは、それぞれの理由でどのような対応をとるのがベターであるのか、例をあげてお話していきましょう。
親御さんの転勤・引越しによる退団
この「転勤・引越し」のパターンには、2種類あります。
- 物理的にチーム練習に参加できない場所への引越しの場合
- 引越しはするがちょっと無理すれば練習に参加できる場合
1の場合は、チーム活動への参加は無理ですので、なるべく早く監督にその旨伝えましょう。お子さんが中心選手であればあるほど、抜けた場合のチームに与える影響は大きくなります。退団の意思を出来るだけ早く監督に伝えることで、新しいチームの編成に少しでも早く着手してもらう。それが、あなた方家族からチームに対して尽くす最後の礼儀です。
2の場合は、色々考えるべきことが発生します。違う市や区に引越しする場合でも、引越し後もそのまま元のチームで活動することは可能です。(例えば世田谷区所属のチームに入団して、北区に引越しした場合、越境などのルール違反扱いにはならず、そのまま世田谷区のチームの一員としてプレーできるということ)
但し、当然の事ながら遠距離の練習参加は肉体的にも精神的にも相当ハードになります。そして、遠距離になればなるほど、行き帰りの危険が増します。小学生を一人で遠距離の練習に行かせることは基本的に無理があるので、送り迎えは必須です。何か事故が起きてからでは手遅れですし、チーム運営としても配慮不足として非難されます。
『お父さんがコーチをしていて、練習も試合も一緒に車に乗せて行くから大丈夫』という場合に限り、問題ないでしょう。実際、私のチームでも過去に成功事例があります。
引越し後もチームに残りたい場合は、そういった家族の協力体制も勘案した上で判断するようにしましょう。
学業に専念する為の退団
最近増えてきているのがこのパターンです。「今の成績では中学受験できません。6年生からは塾に行かせるので、チームを辞めさせてください。」
この場合、基本的には一旦チームから引き留められるでしょう。私のチームでは、一度やめるといった家庭が考え直したためしはないので、そのまま辞めて貰っています。
このタイプの家庭は、辞める直前に申し出ます。なぜならギリギリまで息子さんと共に少年野球ライフを楽しみたいからです。早くに退団申し入れをすると、監督がその後試合で使わなくなることをどこからか聞いて解っているからです。まもなく辞めてしまう子より、今後もチームに残る子を監督が試合で使うというのは、考えてみればあたり前の事ですよね。
またこのパターンは、子供の意思ではなくまず間違いなく親の意思での退団なので、監督・コーチは腹を立てつつも諦めて認めます。ある意味、子供は犠牲者なのです。せめて一日でも早く退団表明をしてください。
但し、このパターンでチームを辞めたほとんどの子供が中学受験に失敗して、地元の公立中学に通っていることを付け加えておきます。今の子供たちは、野球チームを辞めたからといって、勉強に集中できません。一家は、身を持ってその事を体験するはめになります。
お子さんの成績が上がらない根本原因を探り、適切な対策を打つほうがはっきり言って得策です。
トラブルによる退団
子供同士のトラブルで退団するという事は、ほとんどありません。我々指導者は、そういったことが起きないように、野球を通じて子供たちを指導しているのですから。
退団のきっかけとなるようなトラブルを起こすのは、ここでも保護者です。しかも、子供のせいにして退団するケースが多くなっています。
「うちのAが辞めたいといっているので」
そこで、そのA君に直接尋ねてみたら
「僕はやりたいって言ってるのにママが辞めなさいって」
他のお母さんに聞いてみたら、このA君のお母さんは、他のお母さんの陰口ばかり言うので、お茶当番のペアを組む相手が誰もいないほどみんなから嫌われていたとのこと。
もし、貴方に身に覚えがあるのなら、子供を辞めさせるのではなく、自分の行動や言動を反省したほうがいいでしょう。チームを辞めても、また別のグループで同じトラブルを起こすだけですから。
チーム移籍による退団
軟式から硬式に移る場合や、今のチームでは試合に出られないので他のチームに移籍する場合などがこれにあたります。私のチームでは入団時に親御さんに対して「硬式野球は高校からで良い」という話をこんこんとしているのでほとんどいませんが、『軟式から硬式』への移籍希望は普通のチームにおいて結構あるようです。
野球の他にサッカーも同時にやっていたが、どっちも中途半端になってしまうのでやめる、という『掛け持ち』もこの仲間でしょう。(入団時にこの掛け持ちがわかっている場合、私のチームでは入団をお断りしています)
『今のチームでレギュラーになれないからチーム移籍』という選択をする場合は、これもほぼ100%保護者が中心で話を進めています。
子供たちは仲間と野球がやりたいのです。スタメンで出られなくても、ベンチから大きな声で試合に参加したいのです。スタメンで試合に出られないのが嫌でたまらないのは、保護者なのです。
私のチームからよそのチームに移籍した例は未だありませんが、逆はあります。前のチームを円満退団してきたことを確認したうえで入団を認めたのですが、やはり保護者に問題がありました。(保護者間の金銭トラブル)
このように、少年野球のステージで「移籍」という選択肢を選ぶ家庭には、何かしら問題があると私は感じています。少なくとも、移籍先からそうした眼で見られていることを覚悟の上で、「移籍」の選択を検討してください。
まとめ
ここまでのパターンで解ったように、『病気・怪我の為退団する』『野球に向いていないから退団する』という例は皆無に近いのです。
病気や怪我は、治療すれば快方に向かいます。ましてや『野球に向いていない』なんて誰が判断したのでしょうか?
『退団』の意思を表明する場合は、ここで説明したことをよく検討しましょう。繰り返しますが、一度『退団』表明したら、元には戻れませんよ。