ダブルプレーの練習方法と成功させるためのポイント
プロ野球で披露されるダブルプレーは華麗です。特に菊池やクルーズのグラブトスやバックハンドトスは、観ていて惚れ惚れします。
「ランナーが出たら盗塁」「徹底したバント練習」という私が描くチームスタイルというのも、実を言うと「せっかくのチャンスにダブルプレーを食ったらたまらない」という意識が根底にあるからなのです。
ここでは、少年野球における基本的なダブルプレーについて、紹介していきましょう。
6-4-3(ショート→セカンド→ファースト)
ショート(6)が捕って2塁ベースに走るセカンド(4)に送球してフォースアウト、さらにバッターランナーをアウトにするためにファースト(3)に送球してダブルプレーを成立させます。
ここでのポイントは、ショートが捕球後いかに2塁に素早く正確に送球できるかと、セカンドがいかにタイミングよく2塁ベースに入り1塁に転送できるか、になります。
若干専門的になりますが、セカンドはショートが捕球した位置と2塁ベースを結んだ延長線上を、真っ直ぐに2塁に入る形が6-4-3の基本といわれています。これはショートの2塁送球が仮に逸れた場合のリスクをヘッジしているからです。(悪送球を早めに検知して対応することができる)
5-4-3(サード→セカンド→ファースト)
サード(5)が捕って2塁ベースに走るセカンド(4)に送球してフォースアウト、さらにバッターランナーをアウトにするためにファースト(3)に送球してダブルプレーを成立させます。
ここでのポイントは、6-4-3と同様にサードが捕球後いかに2塁に素早く正確に送球できるかと、セカンドがいかにタイミングよく2塁ベースに入り1塁に転送できるか、になります。
但し、小学生の場合はまだ肩が弱いことと、ボテボテゴロ対策でかなり前目に守らせていることもあり、なかなか5-4-3が成立しないことを付け加えておきます。
4-6-3(セカンド→ショート→ファースト)
セカンド(4)が捕って2塁ベースに走るショート(6)に送球してフォースアウト、さらにバッターランナーをアウトにするためにファースト(3)に送球してダブルプレーを成立させます。
ここでのポイントは、セカンドが捕球した時に生じる身体の反転になります。セカンドの守備位置からホームに正対して正面より左に打球が飛んだ場合、捕球後に2塁送球する為には身体を2塁方向に反転させなければなりません。この反転速度とその後の送球の精度に4-6-3の成否がかかっています。但し、あまり反転に気持ちが行き過ぎると、捕球の方がおろそかになり、セカンドがファンブルするという光景がしばしば見られます。
このプレーでは「セカンドはきちんと捕球してから素早い反転」が鉄則となります。
逆にセカンドの守備位置からホームに正対して正面より右に飛んだ場合、捕球の後に2塁送球する為には、トス(グラブトス)を成功させなければなりません。なまじ普通に送球させると強弱がわからずにとんでもない送球になりがちなので、この4-6-3はトスの練習を反復します。
3-6-3(3-6-1)(ファースト→ショート→ファースト(またはピッチャー))
ファースト(3)が捕って2塁ベースに走るショート(6)に送球してフォースアウト、さらにバッターランナーをアウトにするために1塁(3または1)に送球してダブルプレーを成立させます。
ここでのポイントは、ファーストが打球を捕球する位置によって、最後に1塁でバッターランナーをアウトにするのがファーストなのか、それともピッチャーがカバーする必要が生じるのか、が決まるということです。具体的には、1・2塁間の当たりで2塁方向にファーストが大きく飛び出してしまい、1塁に戻ることが無理そうだと判断した場合は、ピッチャーがファーストカバーに入る必要があるということです。このプレーも、ピッチャー含めて何度も反復練習することで感覚をつかむ必要があります。
1-6-3(ピッチャー→ショート→ファースト)
ピッチャー(1)が捕って2塁ベースに走るショート(6)に送球してフォースアウト、さらにバッターランナーをアウトにするために1塁(3)に送球してダブルプレーを成立させます。
ここでのポイントは、ピッチャーは基本的に走者の状況が見えないので、常にキャッチャーの指示に従って送球先を決めるということです。ランナーがヒットエンドラン気味に良いスタートを切っていたという場合や、思いのほか鈍足のランナーであった場合など、その都度冷静な判断(指示)が必要だからです。
ショートの動き(守備位置)も重要です。ショートが予め1-6-3を想定していないと、守備位置から2塁に走りこむタイミングが遅れて、ダブルプレーどころかピッチャーからの送球がセンターに抜けて、オールセーフになってしまうこともあります。その対策として、ピッチャーとショートの呼吸を感覚的につかむ必要があり、何度も繰り返して練習します。
まとめ
昔から「二兎を追うものは一兎をも得ず」といいますが、少年野球でもこの格言はしばしば実態として現われます。
「あ~あ。ひとつアウトとっておけよ。」
と後で嘆くことがないように、各チームは確実に一つアウトを取るジャッジも含めて、日夜練習に励むのです。