保護者が応援するときのマナー
貴方のお子さんが、ついに少年野球チームに入団しました。
送り迎えにおいて同伴の必要が生じた貴方は、必然的に練習や試合の応援をすることになります。
応援には、“練習時の応援”と“試合時の応援”がありますが、ここではそれぞれ個別に説明していきましょう。
普段の練習中は応援よりも当番業務を優先する
別項でお話した『お茶当番』の場合は、応援というよりも当番業務が優先します。練習時間中ずっとベンチの中に待機しつつ応援しますが、折を見てジャグという飲み物タンクの水分補給を行います。また、練習中に子供が怪我をしたら、救急箱を開けて応急処置を施します。季節によっては蚊取り線香を用意したり、水撒きを手伝ったりもします。我がチームでは、毎回の練習終了後、ひとりひとりにお菓子を配るのですが、その事前準備をするのもお茶当番の重要な役目のひとつです。会計のお母さんから、子供ひとりあたりの大体の金額目安を伝えられ、激安店でまとめ買いをしたり、夏に人気の高いアイスを練習終了後に走って買いに行ったりもします。
貴方がお父さんの場合で、出席頻度が高い“アツい”お父さんの場合はちょっと状況が異なります。いつものように息子の応援をしていた貴方は、おそらく監督から声をかけられるはずです。『今はどこのチームでも指導者の数が足りないんですよ。うちのチームでも、貴方の力が必要なんです!』とかなんとか言われ、監督からの指導者登録要請を受けることになります。そして、気づいた時にはチームの帽子を被らされ、子供たちに向かってノックを打っていた…というのは、非常によくある話です。
ここで注意しなければならないのは、グランドに入ってノックを打つお父さんは、指導者登録をしていなければならないということです。これは、万一ノックの打球等で子供に怪我をさせた場合に、指導者登録をしていないと保険金がおりず、治療費その他で大変なことになるからです。
逆に、この指導者登録もしていないのに、お父さんたちを手当たり次第にグランドに入れて、指導者の真似事をさせているとすれば、それは少年野球の危機管理が解っていないインチキチームです。即刻、他のチームへの移籍を考えましょう。
試合中は良いプレイに対して応援する
試合における応援には、応援席での応援と、それ以外の場所での応援があります。
応援席での応援には、それぞれのチームカラーが出ます。じっと静かに試合を見守るチームもあれば、Tシャツなどをそろえて大勢で応援歌を歌うチームもたまに見かけます。熱が入りすぎるあまり、相手チームがエラーした時に拍手喝采をする人や、審判の判定にやたらにクレームをつける人もいますが、これは応援とはいえません。中にはバッターボックスでの立ち位置や選球について息子さんに指示を出している、とんでもないお父さんも見かけます。
応援についての基本的なスタンスですが、私のチームでは『美点凝視での応援』を保護者に説いています。敵味方問わず、子供たちの素晴らしいプレーにのみ注目した応援をするのです。ファインプレーに拍手し、ナイスバッティングに絞って歓声を上げるのです。逆に言うと、エラーや三振の時は、常に『ドンマイ』なのです。『バカ』『何やってんだ』というのは応援ではありません。これは罵声といいます。そして、罵声の飛び交うチームで強いチームを私は見たことがありません。
次に応援席以外の場所での応援についてです。よく見かけるのが、息子の守備位置のそばに陣取り、1・3塁の守備位置やレフト・ライトの動きについて、細かく指示を出すお父さんです。これは、監督・コーチの指示をないがしろにするとんでもない行動で、もはや応援とはいえません。息子さんの応援は応援席でしましょう。そんなところで応援しても、決してお子さんのためになりません。
まとめ
高校野球の応援席をみると、正式な応援団やブラスバンドやチアガールがいたり、打順別に応援歌が決まっていたり、チャンスのときの特別な応援歌や演奏が球場の両サイドで鳴り響いたりします。手にはチームカラーで揃えたメガホンが渡され、揃いのTシャツでチーム一体を演出します。
高校野球という熱いステージにおける応援は、それでよいのですが、少年野球には少年野球の応援に関する暗黙のルールがあります。
さあ、貴方もチームにおける応援スタイルに早く溶け込み、美点凝視の精神で大声援を送ってあげましょう。