公式戦などの大会前におけるサイン練習の重要性習
年に数回開催される地域の公式戦や、さらにそこを勝ちあがった代表チームのみに出場権が与えられるような上部大会。通常時の練習より、どうしても力が入りますよね。
指導者、子供たちの熱が上がるのは当然ですが、勝ち進むと保護者のボルテージも相当な勢いで高揚します。
このような“熱い”公式戦の前は、どのような練習で本番に臨むのでしょうか。
試合前にはサインを再確認しておく
地域の大会では近隣チームと何度も対戦するので、必然的にサインがばれている可能性が高まります。
従って小学生の野球ながら、定期的にサインを変える必要があり、大会前の練習においてはそのサイン確認の練習が大きな比重を占めます。(それ以外の時間は通常練習と同じです。)
また、私のチームでは監督の私からサインを出しますが、監督から出るサインはフェイクで、コーチが出している方が正式サイン…というチームもあり、各チーム共にサインプレーに苦心しているところがうかがえます。
サインの種類
サインには、ホールディングサイン、フラッシュサイン、ブロックサインなどがあります。
ホールディングサイン
ホールディングサインとは、例えば帽子を触ったらバント、腕を組んだら盗塁、メガホンを持ったらヒットエンドランなど、その触った位置や態勢・姿勢を直接サインとして伝達する手法で、“複数の動きが絡まない”ことが特徴です。
最も分かりやすく、低学年選手用とも言われるほど簡単なので、相手にすぐ見抜かれてしまう(子供にも見抜かれます)ことと、“あまりに腹が立って腕を組んでしまった”など、サインを出す意思がないのに子供たちに誤解されてしまうこともあり、あまりお勧めできません。
フラッシュサイン
次に、フラッシュサインというのは、複数の箇所を触りながらサインを出し、その間に特定の箇所を触ることで出されるサインのことです。
例えば、帽子のつばを触ったら盗塁、鼻を触ったらバント、ベルトを触ったらヒットエンドランと決めておきます。
この決まりの中で、口→耳→左ひじ→帽子のつば→右肩と触れば盗塁といった具合です。
分かりやすいので小学生・中学生共に使われますが、触った瞬間を選手が見落としやすいことと、出したほうが間違える(2箇所触ってしまうなど)ことが多いので私は使いません。
ブロックサイン
ということで私のチームでは、サインの中で一番複雑ではあるものの一番リスクが少ないブロックサインを使っています。
これは、フラッシュサインに“キー”を組み合わせたものと考えてください。
例えば、手をクロスさせたら“待て”、ベルトを触ったら“バント”、帽子のつばを触ったら“盗塁”、耳を触ったら“ヒットエンドラン”、手をぱちぱち叩いたら“自由(それまでのサインは一切無効)”とします。
そしてキーを決めるのですが、仮に“鼻を触る”がキーとした場合、キーの“直後(鼻を触った後)“に送られたサインが指示となります。
このルールでいくと、左ひじ→鼻→ベルト→帽子のつば…だったら“バントになり、右ひじ→帽子のつば→ベルト→鼻→耳→口…だったら”ヒットエンドラン“となります。
ちなみに右ひじ→帽子のつば→ベルト→鼻→耳→口→手をぱちぱち…の場合はサイン一切無効ですので”自由(ノーサイン)“となります。
この”手をぱちぱち“は、”サインを見破られた“と直感した場合に、相手をさらに混乱させことにおいて絶大な効果があります。
ブロックサインのキーは変えないほうがいい
ここで重要な事は、ブロックサインでポイントとなる“キー”については、めったに変えてはいけないということです。
相手はなにぶん小学生なので、“キー”を替える事は“サイン間違い”のリスクを圧倒的に増やすことに繋がるからです。
サインを出すタイミングが大事
またこれも重要ですが、サインというのはバッターとランナーが同時に注目している瞬間に出さなければ意味がありません。
これは裏を返せば、“ランナーがベンチを見ていない”“ランナーとバッターのベンチを見るタイミングが合っていない”様な場合は、“スクイズはない!”“ヒットエンドランはない!”と推測(断定)できてしまいます。
ここからも、大会前にきちんとしたタイミング(打者と走者が同じタイミング)で、きちんとサインを見る練習の重要性は明らかです。
試合の展開を決めるスクイズ外しの練習を徹底する
ここまでのところで、公式戦前の練習におけるサイン確認の重要性がお解かりいただけたと思いますが、その他では“スクイズを外せ”のサイン徹底と練習も、公式戦前には欠かせません。
大会を勝ち進み、1点差勝負の緊迫した戦いになればなるほど、スクイズで点を取りに来る展開が増えてきます。その時こそ、監督が培ってきた手腕の見せ所です。世の監督達は、それまでの各自の経験から独自に編み出したサインの看破方法を持っています。
私自身も、試合中に相手から仕掛けられるスクイズについて一度目はなかなか見破れませんが、二度目以降はスクイズを外しにかかります。
スクイズが好きな監督は、同じ試合の中で二度三度とスクイズを仕掛けてきます。よって二度目三度目はスクイズを外せる確率が高いのです。
スクイズ外す場合にも、入念なバッテリー練習が必要です。
ここで暴投となっては何のために外すのかわからないですし、中途半端な外し方やワンバウンドとなれば、器用なバッターにはスクイズを決められてしまいます。
そこで、私のチームでスクイズを外す場合には、“バッターの背中側に外す”ことを練習しています。
これは、人間の体における構造上の問題ですが、背中に来た球をスクイズするのがどんなに難しいかは実際に体験してみなければ解らないでしょうが、小学生には間違いなく無理です。
まとめ
大会で上位に入賞すると、賞状やカップが貰えます。
“優勝”“最優秀選手”などと書かれ、居間に誇らしげに飾られた様々な賞状や、サイドボードに収められた光り輝くカップは、小学生にとっての励みになるだけでなく、親御さんたちの鼻を高くすることにおいても絶大な効果があります。
また、我が家のように5人の子供が頂いたものばかりでなく、私が監督として頂いたものもあると、もはや家の中は収拾がつかない大変な状態になっています。
“チームの目標”に挙げられることも多い、地域の大会や上部大会での優勝。
目標を達成したものだけが享受できる喜びを、大会前の特別練習によってぐっと引き寄せてください。