野球道具のお手入れ方法(グローブ・スパイク・バット)
少年野球を始めた貴方のお子さんも、チームにだいぶ慣れてきました。毎日使っている野球道具も、そろそろ汚れてくる頃です。
ここでは、道具別の手入れ方法についてお話していきましょう。
グローブのお手入れ方法
グローブには、守備位置別に投手用、捕手用、一塁手用、内野手用、外野手用、オールラウンド用などの種類があります。当然形も大きさも違いますが、基本的にどれも同じ要領で手入れをします。
手入れ以前の問題として、“試合や練習で使用した後は、必ずグローブについた埃や土などの目立つ汚れを落とす”という“習慣”をまずつけましょう。
なぜなら、汚れたまま放置しておくと革を傷めてグローブの劣化を早めてしまうからです。汚れを落とす時には、乾いた柔らかい布でそっと拭き取ることが基本です。
ウェブなど、細かい部分の汚れを落とすには豚毛ブラシ(歯ブラシでも可)を使いましょう。代表的なものとして、ローリングスの野球グローブ専用豚毛ブラシが500~600円で売っているのでおすすめです。
そして、グローブに対する日々の手入れをしていく中で特に注意すべきポイントは、“乾かす”“オイルを塗る”“型をつける”の3点です。
グローブの手入れ:乾かす
特に雨天での練習や試合の後、大切なグローブは水分を吸って重くなっています。そのまま放置しておくと革が縮んでしまい、指がすんなり入らなくなることさえあります。また、カビが発生する原因にもなります。
そんな時、ドライヤーで乾かしたりストーブの前で干したりするのは厳禁です。革が傷んでしまい、グローブの消耗を早めるからです。この場合は、大雨で革靴がびしょ濡れになってしまった時を思い出してみましょう。雨ゴルフの後、世のお父さん達は靴の中にせっせと新聞紙とかを詰めていますよね。
まず、新聞紙をグローブの中に詰めます。最近では新聞を定期購読していない家庭も多いので、その場合はキッチンペーパーで代用します。
そして、扇風機の風量を“最弱”にして優しく乾かします。これは陰干しするのよりもかなり速く乾くので、野球少年の家庭において扇風機は冬でもフル稼動することになります。
もしかなり酷く濡れてしまっているのであれば、新聞紙で水気を大方取った後に、レギュラーサイズの使い捨てカイロをグローブに入れて乾かしましょう。これはかなり効果があります。
そして、ある程度乾いてきたら、次のステップとしてオイルを塗ります。
グローブの手入れ:オイルを塗る
“グローブの手入れをするというのはオイルを塗ることだ”と勘違いしている野球少年が、世の中には大勢います。
この子達は、“毎日心を込めてオイルを塗れば、グローブに気持ちが伝わり上達が早まるだろう“などと考えていますが、これは大間違いです。グローブをいたずらに重くするばかりで、かえって型崩れしやすくなり、結果的にエラーの確率が高まります。
従って、オイルを塗る際に最も注意すべき点は、“塗り過ぎに注意する“ことです。人間でも皮膚が乾燥しているときはローションを塗りますが、グローブも“牛の革”なので乾燥は大敵です。
とはいえ、プロ野球の選手でも二ヶ月に一回くらいのペースなのに、少年野球の選手が毎日オイルを塗っていたらどんどんグローブが重くなってしまい全くの逆効果です。
グローブを使用する頻度にもよりますが、“パサパサ感”を感じたタイミングでのみ塗るようにしましょう。目的はあくまで“保湿”なのです。
グローブの手入れ:型をつける
新しいグローブは捕球しやすいように“型を付ける”ことが重要ですが、低学年用のグローブであれば、あまり気にすることはありません。ここでは我が家で実践中の“カンタン型付け”をご紹介します。
まず、グローブと一緒にボール(小学生の軟式であればC球)を2個買ってください。それから、ストッキング止めのバンドを買ってください(1対)。
練習後にグローブのポケット部分に2個のボールを縦に置き、グローブの外側からストッキング止めバンドでクロスに止めてください。ストッキング止めは伸縮が利くので、家庭におけるグローブの型付けを行う際に重宝します。
これを毎晩こつこつとやることにより、グローブには“型が付き”、お子さんが野球に向き合う姿勢にも“型ができる”のです。
スパイクのお手入れ方法
スパイクの手入れにあたっては、まず材質が“本革”なのか“合皮”なのかを確認しましょう。チビッ子が履くような安いスパイクは、大抵“合皮”です。
スパイクの手入れ:合皮
合皮スパイクの場合は、まずドロを落としたあと、固く絞った濡れ雑巾でゴシゴシ拭きます。
それでも落ちないような汚れが付いた場合は、中性洗剤(洗濯用や食器用の洗剤でもよい)を水で薄めた液で拭いて、その後再び固く絞った濡れ雑巾で拭いてください。“保革剤”と呼ばれるものは、使う必要がありません。
少しでも長持ちさせたいなら、“合皮用保護剤”というのが売っていますので、それを塗っておきましょう。
また、『値段が高い方がいいだろう』と考え、合皮に本革用のクリームを塗る人がたまにいますが、これは全く意味がありません。本革は、塗ったクリームの成分が内部に浸透する特性があるから、わざわざ割高な本革用クリームを手入れに使うのです。
一方で、布の上にただポリウレタンの樹脂をコーティングしてあるだけの合皮素材には、何を塗っても全く浸透しません。塗っても塗っても革の栄養にも艶出しにも何の役にも立たないばかりか、ただ表面に汚れをどんどん乗せているのと同じことなのです。
スパイクの手入れ:本革
本革の場合も、まずドロを落としたあと、固く絞った濡れ雑巾でゴシゴシ拭きます。そして、革靴用のブラシ(できればスパイク専用のものがよい)で細かいゴミや埃を取り除きます。その後、本革用のクリームを塗って乾いた綺麗な布で磨きます。
クリームで靴を手入れする場合は、プラスチック製のシューキーパー(靴の形を維持し、それによって靴を長持ちさせるために靴の内部に置く足の形状に似た器具)があると手入れが簡単です。
その他、スパイクは相当臭くなるので、革靴用の消臭スプレーを朝晩スプレーすれば、かなり臭いが軽減されます。
バットのお手入れ方法
木製バットを使っている小学生はほとんど見たことがないので、ここではビヨンドマックスタイプのバットと金属バットを手入れする場合の注意点をお話します。
バットの手入れ:ビヨンドマックス・タイプ
このタイプのバットについた汚れを落とす場合には、まず乾いたタオルで拭きます。
そして、打球が当たるウレタン部分の汚れについては基本的には“放置”しますが、汚れが余りに酷い場合は、家庭用の中性洗剤をぬるま湯で溶かして布等に塗布してから拭き取ってください。但しこの時、シンナー等の溶剤は絶対に使用しないでください。ビヨンドマックスの取扱説明書にも書いてありますが、ウレタン部分が溶解・変質して使い物にならなくなる恐れがあります。
雨の日に使用した際にも、同様に乾いたタオルで拭くだけで大丈夫です。またウレタン部分については取替えもできますが、かなり料金がかかるはずなので購入したお店に確認してみてください。
バットの手入れ:金属バット
こちらも通常の汚れに対しては、基本的に固く絞った雑巾で拭くだけで十分です。
但し金属バットにはボールの跡がよくつきます。私のチームではボールの頑固な跡を消すために、バットクリーナを購入して拭いています。野球専門店で500円~1000円の間位の値段で売っており、かなり汚れが落ちるので試してみてください。
バットの手入れ:グリップ交換
野球バットのグリップテープには、いろんな種類があります。素材はほとんどがポリウレタンですが、中には牛革を使ったものもあります。
その他、テープにクッション材が埋め込まれていて衝撃を吸収するものがありますが、公式戦の場合、規則で使えない場合もあるので選ぶ時には注意が必要です。また、右バッターと左バッターとではグリップの巻き方自体が違うので要注意です。
従ってグリップ交換をする場合は、まずチーム内で指導者に相談して下さい。
まとめ
『道具を大事にしなさい。』私はいつもミーティングで子供たちに話していますが、これはある意味“命令”です。
但し、『ヒットを打ちなさい。』とか『ファインプレーをしなさい。』という難題ではありません。親御さんが高いお金を出して買ってくださったグローブやバットやスパイクを、大事にするのは“人として当たり前だ”と言いたいのです。
あのイチローは、試合終了後ロッカールームに帰って来ると、勝った試合でも負けた試合でも、必ずグローブをピカピカに磨いて手入れをするそうです。
凡打や空振りをすると、思い切りバットをたたきつける選手がいます。イチローも一度だけバットを放り投げたことがあるそうですが、その後自分自身が本当に嫌な気持ちになり、二度としないと決めたそうです。
高校野球でフォアボールの際、打席にそっとバットを置いてから1塁に走ることを徹底している学校がありますが、観ているこちらが清清しい気持ちになります。
“野球道具と真摯に向き合う”というのは、少年野球を通して人間教育/人格形成を行う際の、根幹となる部分でもあるのです。