女子が野球を続ける上でぶつかる壁

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記事の目次

少年野球チームの監督を12年もやっていると、色んな子供と出会います。その中にはまれに女子もいますが、やんちゃな男子達の中でチームの一員として過ごして行く上で、様々な障害が待ち受けています。

観ることと実際プレーすることとの違い

少年野球チームに入団してくる女子の入団理由は、大抵の場合「野球が好き」だからで、「私もやってみたい」と思ったからでしょう。この時点の動機や意識レベルは男子と特段の差異はありません。

ところが実際に入団して、男子と一緒にプレーしてみると、特に体力面について男女差を痛感する瞬間が必ず訪れます。

投げる球は速い。打つ打球も速い。走るスピードも速い。中には男子より足が速い女子もたまにいますが、投打における非力さについて、女子は悩み続けることになります。時にはデッドボールを当てられてお尻が腫れるかもしれないし、守備で別の野手とぶつかって流血することもあります。

『観ている時は簡単そうに見えたけど、実際にプレーしてみると野球は厳しいわ。』多くの女子選手は、その後も何度となく壁にぶち当たります。

チームにおける特別扱い

そして、女子がチームの中で「異端」であることを、いやがおうにも認識させられるのが合宿です。当然のことながら、風呂や部屋は男子と別々です。

部屋については他にも女子がいる年はまだいいですが、合宿メンバーの中で女子が一人の場合は周囲も大変です。監督やコーチの部屋に寝かせるわけにもいきませんので、保護者のお母さんが同行していればその部屋で寝起きすることになります。お母さんが誰も同行しない年で、泣く泣く女子が不参加となった年もありました。

サヨナラ勝ちや優勝の瞬間

野球には、しばしば「劇的な場面」というのが生じます。サヨナラホームランや、大小の大会における優勝の瞬間などがこれにあたります。

この時、男子達は普通にマウンドやベンチで抱き合ったりして喜びを爆発させますが、ベンチに同性がいない思春期の女子は、あたかも密会を喜ぶカップルの如く監督とよそよそしいハイタッチをする程度しか出来ません。男女混合の青少年スポーツが世間一般に少ない理由は、この辺の事情も大きいのでしょう。

野球が大好きにもかかわらず、こうした些細な不満が蓄積された女子選手は、小学校を卒業すると同時に、女子野球のチームに行きます。そこでなら、「心置きなく」みんなと抱き合えるからです。

まとめ

2002年に、日本の女子野球を普及・発展させることを目的として、日本女子野球協会が発足しました。2009年には日本女子プロ野球機構が発足し、2011年からは、プロを含む社会人と大学、高校生が一体となった総合選手権である「女子野球ジャパンカップ」が行われるようになりました。

少年野球でいえば、女子学童を対象とした「NPBガールズトーナメント」が、男子プロ野球を管轄する日本野球機構(NPB)と全日本軟式野球連盟の共催で、2013年より開催されています。

女子に対する野球の裾野は、間違いなく広がっています。自分に合った野球スタイルを早く見つけて、楽しい女子野球人生にして欲しいものです。

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