少年野球チームのコーチの役割とは?

top画像
※この記事にはプロモーションが含まれています。
記事の目次

スポーツにおけるコーチというのは、アメリカン・フットボールやフィギュア・スケートのように監督に代わるべき立場であったり、時には選手の精神的支柱として監督以上の存在であったりと、かなり特別な存在と位置づけられることがあります。

では、少年野球チームのコーチというのは、どんな役割を担っているのでしょうか。

監督のサポート

試合以外の局面でコーチに課せられた最大の仕事は、チーム練習の遂行です。

監督が描いたチーム作りのビジョンに賛同した上で、コーチは計画に従って粛々と練習メニューを遂行します。そこでは、ただノックを打つだけでなく、子供達に対する様々なトレーニングや野球技術の具体的な指導を行います。その中で、時にはメンタル・トレーニングの類が含まれる場合もあります。チームの結束力を高める指導の一環で、全員をプールに連れて行ったりすることもあります。

チームに監督は一人しかいないのが基本なので、コーチ陣が監督の手となり足となって様々な練習メニューを進めているのです。

自分の子供との接し方

少年野球のコーチは、ほとんどの人が「お父さんコーチ」(自分の子供がチームに所属しているからコーチになった人の総称)なので、基本は「わが子が楽しい少年野球ライフを過ごせたらいい」というくらいのライト感覚で、ボランティア活動としてのコーチ職をこなしています。そのこと自体は、ある意味、仕方ないことだと私は思っています。

但し、ここで「お父さんコーチ」として最も気をつけなければならないことは、「決して自分の子供に甘くなってはいけない」ということです。

それでなくても、チームメートやお母さん達は「XX君はお父さんがコーチだからレギュラー確実でいいなあ。」とか「XX君はお父さんがノックしているから易しい打球がきていいなあ。」と少なからず思っています。必然的にXX家としてはこんな風に言われないように周囲を納得させる必要が生じ、試合や練習で“圧倒的な実績”を披露することが求められます。

その結果として、チームメートの目に触れない家庭内練習において、“親子スパルタ特訓”に取り組むことが多くなります。

「お父さんコーチ」がチーム内で自分の子に接するスタンスは、「XXコーチ。ちょっと自分のお子さんに厳しすぎるんじゃないの?」と言われるくらいが“適当”だと私は思っています。

試合おけるコーチの役割

さて、実際に試合となった場合、具体的にコーチは何をするのでしょうか?

ここでも、監督のサポートが主な仕事になります。声を出してベンチのムードを高めたり、細かい守備位置の指示を出すことで、チームが勝つ確率を高めるための仕事をします。監督が急用で試合を休む場合は、“代理監督”を務めることもあります。

一般的にはあまり注目されませんが、コーチの声だしは少年野球の試合の中で非常に重要です。その証拠に、いつも元気なコーチが突然お休みしたりすると、ベンチのリズムが狂うだけでなく、空気が重く暗くなって思わぬ敗戦を喫することがあるくらいです。勝負事は「流れ」と「勢い」が重要で、そのポイントの一端をコーチの声だしが担っているということが、この事からよくわかります。

その他、私のチームでは、地元のチーム相手の公式戦の場合に、私とヘッドコーチと二人で別々にブロックサインを出します。対戦が多い地元チームとの対戦では、サインが相手に盗まれる(読まれる)ことも少なくありません。

その対策として、試合によって正しいサインはどちらから出たものかをチーム内で決めておいて相手を撹乱するのです。(但し、これはかなり練習を積まないと、サイン間違いが頻発して逆に自チームが大混乱に陥ります。)

コーチのその後

「お父さんコーチ」は、子供が卒団すると同時にチームを去るのが通例です。

但し、稀に子だくさんのコーチがいます。その場合は、必然的にチームにかかわる期間が長くなることから、「XXコーチ。監督代わってよ。」という話になります。

実際私もこのパターンで監督に就任したクチですが、監督を引き受けるにはそれ相応の心の整理や決心が必要です。当然、家族も巻き込むことになりますので、コーチと監督の違いを深く考慮して判断したいものです。

まとめ

一度でも監督をやってみた方は解ると思いますが、その時々のコーチの性格や資質によってチーム成績は恐ろしいほど浮沈します。私も最近やっと解ってきたのですが、“選手だけでなく監督さえも高揚させる”のが優れたコーチなのです。

自身の監督人生を振返ってみると、成績が良かった年はおしなべてヘッドコーチが優秀でした。その他のコーチ陣も色々な意味で層が厚く、酒席の回数も多かったように思います。

よく「私は野球経験がないのでコーチなんて…」とコーチ就任要請に対して二の足を踏むお父さんがいますが、私の経験則によれば、“優秀なコーチ”は野球経験のない人ばかりです。なまじ高校や大学で本チャンの野球をかじっていると、他のコーチと指導方法でぶつかったり、子供への対応が稚拙だったり…ということが多かった気がします。

教える相手は“小学生”で、その内容は“少年野球”なのです。“大人として子供共に楽しめる感性”が、少年野球のコーチには何より必要だと思います。

この記事をシェアする