少年野球では必要ない道具
少年野球を始めた貴方のお子さんも、だいぶチームに慣れてきました。
同時に、応援団である貴方やおじいちゃん/おばあちゃんも、高校野球やプロ野球など、メディアから流れてくる野球の情報全般が気になりだしました。
『うちの子(孫)には絶対、野球が巧くなってほしい。大谷翔平や田中将大のような大選手になるためには、家族のサポートが大事だと聞くし、不憫な思いをさせたくない。今のうちから最高の道具を揃えてあげよう…』
お気持ちは良くわかりますが、ちょっと待ってください。
ここでは、迂闊に買ってはいけない(無駄になる可能性が高い)道具について、個別にお話していきましょう。
スパイク
金属製のスパイク
野球のスパイクには、大きく分けて“金属製”と“樹脂製”の2種類があります。
但し少年野球(小学生)では金属製のスパイク使用は禁止されているため、ポイントスパイクとも呼ばれる樹脂製のスパイクを履くことになります。
従って、お子さんやお孫さんにいくら“良いもの(高価なもの)”を買い与えたいからといって、小学生に金属製のスパイクを買ってあげても意味がありません。
使える頃にはもう足のサイズがかなり大きくなっているはずで、結局“宝の持ち腐れ”になるだけです。
サイズの合っていないスパイク
スポーツ店のバーゲンセールやアメ横などの安売り店において、“激安品”“超目玉品”“現品限り”などとして店先に並んでいるスパイクを良く見かけますが、これも要注意です。
『ちょっとサイズは大きいけれど、どうせ足は大きくなるのだから買っておいて損はないだろう』と財布の紐を緩める親御さんをしばしば見かけますが、これがアウトなのです。
スパイクというのは、サイズがぴったり合う(つま先部分は若干余裕を残す)ものでないと、靴ズレを起こしたり爪を傷めたりします。
これは、子供の足であっても、甲高だったり幅広だったりするからです。
この“安物買い”の結果、サイズ違いが原因で稀に肉離れを起こす事もあるので、大変重大な“お買いものミス”なのです。
“スパイクは選手が履いてみて初めて購入を検討するものだ”ということを覚えておいてください。
サングラス
プロ野球を観ていると、主にデーゲームにおいて多くの外野手がサングラスをかけてプレーしています。
中でも海の向こうから映像で流れてくる、イチロー選手のサングラス姿はいつ観てもかっこいいですね。
『うちの子(孫)にも、オークリーのサングラスを買ってあげよう。』お気持ちはわかりますが、これもちょっと待ってください。
ちなみに、私のチームにおいてサングラスの使用は禁止です。
これは決して我がチームが特別なわけではなく、他のチームにおいても監督さんの方針でサングラスを使用禁止にしている例が沢山あります。
理由は“絶対に必要なものではない”からです。
まともなチームは、日光が眩しい時のフライ捕球を日頃から練習しているため、“絶対に必要なものではない”のです。
グローブで直射日光を遮りながら、落下点に素早く入って捕球する練習。
これをきちんと日頃からやっていれば、カンカン照りのデーゲームでも大抵のフライはキャッチできるということなのです。
そして、“絶対に必要なものではない”華美なサングラスの使用を一人に認めると、『僕も欲しい』と他の子供達が続々と親御さんにおねだりする連鎖が目に見えているため、まともなチームの監督さんたちは、“サングラス使用禁止”を徹底する事で、これらの不毛な購入行為を未然に防いでいるわけです。
また、『ピッチャーはプロでもサングラス使用禁止』なので、これも覚えておいてください。
その他、私のチームでは視力が悪い子供が眼鏡としてスポーツグラスを使用することについては、レンズに色がついていない事を条件に認めています。
弱視のお子さんも稀にいたりするので、何れにしても眼鏡関連商品購入の際は、まず所属チームの監督さんに相談しましょう。
バッティング・グローブ
プロ野球中継を観ていると、ほとんどの選手がバッティング・グローブを着用しています。
これを観た親御さんやおじいちゃんは、『うちの子(孫)にもバッティング・グローブを買ってあげなければ』と思ってしまいます。
気持ちはわかりますが、これもちょっと待ってください。
ちなみに、私のチームでは基本的にバッティング・グローブも使用禁止です。
どうしても使用したいという場合は、私が選手の手の平を診てから、その結果で許可を出します。
そこで素振りによるマメやタコが沢山できていたり、皮がぼろぼろであったりした場合に限りバッティング・グローブの使用を認めますが、そんな手をした選手は、今まで12年間で数人しか見たことがありません。
プロ野球選手がみなバッティング・グローブをしているのは、プロ野球が木のバットでスイングするからです。
金属バットのようにグリップ部分にテープを巻くことがない木のバットは、スイング時にかなり滑るため、それを防ぐ為にグローブをしているのです。
但し、フィット感を重んじる“天才肌”と呼ばれるバッターの多くは、『感覚が鈍る』という理由でパッティング・グローブをはめません。
寒い冬などに防寒用として着用を認めることはあっても、小学生に対するバッティング技術向上の目的で、グローブに過大な期待するのは見当違いです。
まとめ
『隣の芝生は良く見える。』ではありませんが、同級生が新品の道具を使い始めると、子供も保護者も非常に気になります。
『うちの子がレギュラーになれないのは、サングラスを買い与えていないせいではないか。』とか『うちの子が打てないのは、バッティング・グローブを買い与えていないせいではないか。』親御さんやおじいちゃんたちの悩みは、兎角見当違いの方向に進みがちです。
じっとしていられない気持ちは解りますが、使えない道具の購入に大枚をはたくのは馬鹿げています。
まずは“必要な道具”“不必要な道具”をきちんと色分けして、どうしても解らない場合は監督に質問するという習慣をつけてください。