軟式野球から硬式野球にいつ転向するか

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記事の目次

硬式野球は高校野球からでも遅くない!

私のチームは中学部まであり、入団の時点から小中一貫のチームであるということで保護者に説明しています。そして、そこでいつも話すのは“硬式野球は高校野球から始めても遅くない”という話です。

中学部を持つ現役軟式少年野球チーム監督の意見とすれば、いくら考えてもこの結論以外にはありえません。

理由1:硬式は怪我が多い

軟式VS硬式の議論をする時に必ず出てくるのが、“本当に硬式は怪我が多いのか”という論点です。

実際に高校野球の強豪高に入部してみれば分かりますが、一年を通して“野戦病院”のような状態です。肘や肩を痛めて別メニューで筋肉トレーニングが出来る子はまだましです。部内には松葉杖の選手が“常に”何人かいる、というのが普通です。

過去に、うちの3男が鼻を骨折して入院していました。おりしも高校春季大会の最中なのに…です。硬式野球の練習で、3塁とホームの間におけるランダウンプレー(※)の練習をやっている最中に走者だった息子は、キャッチャーからの逸れた送球が鼻を直撃して病院送りになりました。ヘルメットは被っていますが、フェイスガードは付けませんからね。

ランダウンプレーは、走者が塁間にいるときに、進塁先の塁をカバーする野手がボールを持つことで発生するもので、簡単に言えば“挟みっこ”です。

また、リトルリーグなどの硬式野球関係者は、口を揃えてこういいます。

『今は、食糧事情も昔と比べものにならないほどよく、スポーツ科学も進化しているので怪我は大丈夫です。』

何が大丈夫なのでしょうか。それでは、この人は高校の野球部における“野戦病院”の状況をどう説明するのでしょうか。ましてや、まだ充分に成長していない小学生・中学生にその危険を背負わせるのに…です。

理由2:早く始めることは有利だが絶対ではない

硬式か軟式かで悩んでいる子供も親御さんも、プロ野球選手を目指す→その為には六大学・甲子園で活躍する→その為には野球強豪高校の野球部に入部する→その為には硬式・軟式のどちらがよいか?という思考でしょう。

また、硬式野球論者の方々は”どうせ高校で硬式野球をやるなら、少しでも早く始めたほうがいいに決まっている“と口を揃えて言います。習い事の何かと勘違いしているのでしょうか。あの“イチロー”や“松井”が中学まで軟式野球をやっていたことを、知らないのでしょうか。

百歩譲って、中学の硬式チームは“特定の強豪校との間に太いパイプを持っていることが多いので、その高校に関しては入学しやすい“というのはあるでしょう。しかし、強豪校の野球部には百人を超える部員がいて、入った後はパイプなど全く関係のない実力の世界です。

硬式チーム出身であることによる”アドバンテージ“とはなりえません。その上近年の動向でいうと、強豪校の監督は強豪の中学軟式チームにも眼をつけ、パイプの構築に余念がありません。事実、うちの中学部にも甲子園出場校へのパイプが何本もあるという状況です。

確かに硬式のボールに慣れるのには、ある程度時間がかかります。投げるにしろ打つにしろ、早くから慣れておいたほうが高校に入ってから有利なのは間違いないでしょう。

ただ、その程度の有利さでとれるほど、強豪校のレギュラーの座は甘いものではありません。飛びぬけたセンス(努力することに対するセンスも含む)がなければ、スポットライトは当たりません。

理由3:不本意に挫折してしまうことも

硬式野球にかかる費用は“高い”です。

道具も高ければ、部費も高ければ怪我をした時の治療費も軟式の比ではありません。その上、合宿や遠征なども多く家庭の出費も半端じゃありません。

そんな中、出費に見合うような両親からの過大な期待で押しつぶされそうな野球少年の中には、硬式野球チームでの生活に挫折し、辞めていく子はかなり多いです。それは大怪我をしたタイミングかもしれませんし、レギュラー争いに敗れたタイミングかもしれません。

世の野球少年のお父さん、お母さんは、この時点での“不本意な挫折”が、決して人生の肥やしにならないことに着目すべきです。

まとめ

私の息子達は中学まで軟式チーム(私のチーム)で鍛えて、野球強豪校へと進学しました。長男は甲子園にスタメンで出てヒットを打ちホームを踏みました。その甲子園メンバーも半数くらいは軟式上がりでした。

大好きな野球を途中で辞めるような事態に陥らないような選択をしてあげるのも親の大事な務めであると、私は思っています。

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