少年野球を生かしたおすすめの勉強方法
「うちの子は野球の道に進むのだから、勉強なんてできなくていい。」
そんな事を言うお母さんは見たことがありません。
仮に中学受験を考えていないご家庭であっても、学校の成績に関して無関心ではいられないはずです。
また、どのチームでも、『少年野球を始めてから成績が落ちた。』という保護者の声が絶えません。
こうした現実というのは、今や全てのチームが抱える永遠の課題であり、それは新入部員の招致活動等においても間違いなくマイナスに働いています。
選手の学業成績が、少年野球チームの運営に対して大きな影響を与えているのです。
ただそうは言っても、全国の小学生球児にとって『勉強する』時間を確保すること自体、大変厳しい日常です。
土日祝日は大抵、練習や試合でスケジュールが埋まっています。
家に帰ってきた時にはもうへとへとで、入浴して晩御飯を食べたら、すぐにベッドでバタンキューです。
平日はといえば、学校から帰ってきても、チームから与えられたノルマが待っていて、夜には素振りや筋トレをせざるをえないという状況で、その他にゲームをしたり、マンガを読んだり、テレビを観たりもするでしょうから、勉強する時間がないのは、ある意味仕方のないところかもしれません。
そんな厳しい状況の中、私のチームで学力向上に向けて採り入れている『苦肉の策』のいくつかを、ここではご紹介したいと思います。
国語力を上げる(書く力)
私のチームでは、4年生から『野球ノート』を毎日付けさせて、月に一度提出させています。
毎日この『野球ノート』を書くという作業は、忍耐力や継続する力を養うと共に、確実に“書く力”の向上に繋がっていると自負しています。
『野球ノート』の内容としては、日々の練習についての状況や試合における自身の結果について、起きた事象を正しい日本語でまとめ、さらに自分の見解も整理した上で、日記形式で文章化させるというものです。
これは、自主的に書かせようとした場合、統制面がかなり難しくなりますが、“監督命令”として全員必須で期日も明示して指示すれば、間違いなく提出してきます。
中には優秀な子供もいて、『今後のチーム展望』や、『自主練習の結果、最終的に自分自身をどうしたいのか』、『あの時、監督/コーチにはこう指示して欲しかった』という記述まで目にすることもあります。
その一方、月末に行っている数十名分の『野球ノート』に対する添削は、“診る側”からするとかなりハードな作業となります。
私のチームでは、有志のコーチと分担することで、毎月なんとかこなしています。
この制度を開始した当初は、月末までに全ての添削を終える事ができず子供達に催促されっぱなしでしたが、最近では各作業が効率化された事に加え、添削の技術/スピードもかなり上がってきました。
今では、子供達の“書く力”向上に加え、指導者として子供達ひとりひとりの考えに接する事ができたことで、『一石二鳥』の有意義な作業と皆が考えています。
この『野球ノート作戦』を実行する為には、チーム内に文章の添削/誤字の訂正を適切に行なうことができる指導者の確保することが大前提となりますが、そこさえクリアできれば、子供の国語力は確実にアップするでしょう。
また仮にこの作戦がチームの方針にそぐわないというのであれば、ご家庭内で実践してみるのも一策です。
国語力を上げる(読む力)
野球関連の書籍や新聞のスポーツ欄で野球の記事に接することは、“読む力”の向上に繋がります。
我がチームでは、夏休みや冬休みに学校から出される読書感想文の課題本の他に、野球関連書籍の読破を義務付けています。
こちらは『感想文を書け』とまでは指示していませんが、大抵の子は、『野球ノート』に読後の感想を自発的に書いてきます。
ここで、子供に対して文章を読ませる場合に重要なことは、解らない漢字や表現に直面した場合に、親がすぐに正解を教えてしまうのではなく、まず本人の力で調べさせるという事です。
その結果、どうしても読めないものや意味が解らなかったものについてのみ、親が教えてあげる、というスキームを確立させるのです。
これは、“子供が辞書を引く習慣”を付ける事にも役立つので、ぜひ実践してみてください。
野球関連の書籍としては、思った以上に多くの良書がありますので、監督/指導者に質問してみてください。
ここでは、あさのあつこの「バッテリー」と伊集院静の「スコアブック」をお薦めしておきます。
算数力を上げる
あまり野球とは縁がないように思える算数ですが、私のチームでは、打率や防御率を公式戦の都度、各自計算させると同時に、野球ノートにもその結果を記入させています。
打率の計算はともかく、防御率の計算というのは大人でもかなり難しいのですが、まずは『計算に親しむ』という観点で実践しています。
『慣れ』てしまえば、子供の脳の回転は大人よりも速く、自分の成績を計算するのは野球技術向上の励みにもなるので、楽しみながら数字と対峙できるのです。
まとめ
最初から勉強が好きな野球少年は、あまりいません。
だからといって、放任主義で子供のやりたいようにやらせて、学校の成績が上がるはずもありません。
ここでご紹介した、わがチームの『苦肉の策』を是非参考にしていただき、勉強と野球の『二刀流』を目指せるよう、お子さんをうまく誘導してください。
この挑戦が、決して無謀なでなかったことは、じきに解るはずです。