試合や練習の行き帰りにおける事故について

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記事の目次

近年、野球チームやサッカーチームなどが、試合や練習の行き帰り(以下「送迎」)に起こす死亡事故が大きな問題なっています。

物損の場合は損害賠償の問題が、人身の場合はお金では代えられない結果になることもあり、大きなリスクとしてドライバーにのしかかります。そんな中、“うちのチームに限って大丈夫だろう”と高をくくっているチームが多いこともまた事実です。

“車出しについて”の項でも書きましたが、幸い私のチームで人身事故は起きていませんが、物損事故は何度か起きており、かくいう私も練習試合の薄暗い帰り道で事故を起こしてしまい、後述のフルカバータイプの保険に今年度からチームの費用で加入しました。

少年野球チームにおける“送迎に関する備え”については、どのように考えればよいのでしょうか?

車出しを公平することはできない

上部大会や練習試合での地方遠征など、保護者の車出し協力は少年野球チームにとって欠かせないものです。車出しの立場は主に次の3つに分かれます。

  1. 車を持っていて協力できる家庭
  2. 車を持っていない家庭
  3. 車は持っているけど協力できない

1と2で立場が大きく分かれるばかりか、3の家庭もあり“各家庭公平”というハードルは非常に高いものになっています。

特に問題となるのが3の家庭で、“車が汚れる”“2シータのスポーツタイプなので自分の子供しか乗せられない”などの理由を平気な顔で言われると、チーム内の不協和音として増幅し、野球以外の部分で“しこり”として残ってしまいます。しかしそんな状況下でも遠征は発生するので、実際に送迎してもらう車を決めなければなりません。

そして現実を直視すれば、1の家庭が持つ車の中から選抜せざるをえないわけで、この時点で“不公平”は確定です。車を出して、さらに運転までしていただく1の家庭に対して、2や3の家庭が“感謝の気持ち”を持ち続けることは当然です。

しかしそれとは別に、“運転に関するリスク管理”については、チームとして具体的に検討し“予算化”などの準備をする必要があります。

送迎に関する念書は無意味

各チームが講じている対策としてよく見かけるのが、“送迎で発生した事故に対してチーム及び運転手に責任を求めない…という念書を入部の際に書かせている“というのがありますが、念書は法的に何の効力もありません。

いざ事故を起こして裁判になった場合は、”無効“と判断される可能性が高いです。こういった覚書の類は、”気休め“程度に捉えておいた方が無難です。

チーム全体で考える

一方で、“野球の指導では指導者にお世話になっているのだから、送迎くらい保護者が頑張ってお手伝いしよう“という人達がいます。これは気持ちとしては解りますがそれだけではダメで、リスクヘッジの採点としては0点です。

きちんと保険に加入していない車に子供を乗せて、万が一事故を起こした場合、運転手も被害者もチームも大変な事態に陥ります。

そこで、まずこの話題についてチームの総会で徹底的に議論する必要があります。“何か事故が起きてからでは手遅れ”という認識を、チーム全体で共有するところからはじめる必要があるからです。(卒団する人、入団する人がいるので、毎年総会で話すことを定例化しておくといいでしょう)

次にチームで送迎に使用する“送迎車”を決めます。決定後は、その車以外に子供を乗せてはいけません。そして、全ての“送迎車”に対して万全の保険をかけます。

私のチームの例としては、対人/対物/人身傷害保険無制限/年間走行距離3,000km以下/のタイプ(車両保険だけは本人負担)の保険に、全送迎車が加入しました。ちなみに、どこのチームでも加入しているはずの“スポーツ保険”がありますが、送迎中の事故については“見舞金”程度しか出ませんのでこれも覚えておいてください。

送迎車全台への保険加入は逆にやりすぎじゃないか

『送迎車全台へのチームとしての保険加入は逆にやりすぎじゃないか』と言う意見が総会では出ました。発言したのは前述した3の人なのですが、果たして本当に“やりすぎ”でしょうか。

  • よそ様のお子さんを何人も乗せて運転するリスク
  • 自分は全く悪くなくても、最近問題となっている“あおり運転”など、他車から一方的に被害を受けるリスク
  • ガソリン代は各車燃費が違うので、基本自腹
  • 運転する労力
  • 基本的に毎回遠征の度に“あてにされる”重圧
  • 子供を乗せれば車の中は確実に汚れる
  • 悪天候の河川敷グランドに行くとボディへの泥はねなども酷く洗車が必要になる
  • 加えて、送迎のドライバーは毎回一日仕事になる

これでも“やりすぎ”でしょうか?

土日祝日だけの保険

少年野球チームの保護者の中には、“息子の送迎にしか車を使わない”という保護者もかなりいます。ところが、残念ながら“土日祝日の運転にだけ適用される保険”というのはありません。(少なくとも私のチームで調べた時点ではなかったので、年間走行距離3,000km以下という一番安いタイプにしました)

その代わりに“日付指定保険”という商品があるようなので、遠征の頻度が少ないチームであればそちらを検討してみてはいかがでしょう。その他、“カーシェアリング”も近年流行っています。これは自動車保険もカバーするものがほとんどなので、私のチームでは来年度の総会テーマとして既に考えています。

まとめ

事故は“起きてからでは遅い”のです。中には、取り返しのつかないような大事故もあります。

特に人身事故などを起こしてしまった場合、一生それを引きずることになり、何の為に少年野球チームに入団したのか、それこそ解らなくなってしまいます。

これまで大事故が起きていないあなたのチームは、ただ“運がよかった”だけなのです。“備え在れば憂いなし”という認識をチーム全体で共有し、送迎のドライバーも含めた誰もが、心おきなく少年野球を楽しめる環境をみんなで作ってください。

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