チームで長距離移動するときの準備
少年野球チームの活動において、まれに長距離移動があります。その機会は、毎年恒例の合宿であったり、全国大会など上部大会への出場であったりしますが、小学生を大勢引き連れて行われるチームの長距離移動は、かなりの大仕事でありそれ相応の準備が必要です。
行程表を作る
長距離移動に際しては全体像を捉えておく必要があるので、まずは全日程の行程表を作成します。
日別のタイムテーブルの形で、集合時間/出発時間/到着時間/休憩場所/休憩時間などを軸にして、特記事項と共に予定をプロットしていきます。
宿泊先では入浴の時間、食事の時間などを中心に、ミーティングなどを開くのであれば適宜プロットしていきます。朝のランニングや夜に素振りの時間を設けるのであれば、それなりの起床時間、就寝時間にする必要があります。
行程表作成において最も注意すべきポイントは、“時間に余裕を持たせる”ということです。なにぶん相手は小学生です。突発的に様々な事が起きるリスクを考慮し、余裕を持ったタイムテーブルにしておく必要があります。あまりにキツイ予定を立てると、早い段階で破綻して、メインのイベント実施にも支障が出てしまいます。
また、整理のテクニックとして、指導者/子供/保護者がEXCEL表における“列”で区切られていると、各自の行動を縦方向に確認することができて便利です。
移動手段について
私のチームでは、新幹線や飛行機での移動も過去に経験しましたが、少年野球チームにおける長距離移動の基本は“貸し切りバスでの移動”です。
その理由はいくつかありますが、主な理由は
- 他のお客さんへの迷惑を考えないで済む
- コストが安い
- 楽しい
というところですが、中でも最も重要な理由は1です。
小学生というのは“黙って座っている”というのが何より苦手です。皆さんも一度や二度、電車やバスで騒ぐ小学生を喧しく感じたことがあると思います。移動中ずっと胃が痛くなる思いをし続ける指導者の事を考えるならば、無条件で“貸し切りバス移動”を選択すべきでしょう。
また、小学生の団体行動の場合、突発的に事故や事件が起こり、予定通り出発できないことが結構あります。そんな時、新幹線や飛行機であれば、“出発時間を変更する”ことは絶対にできませんが、貸し切りバスならフレキシブルに対応できるというところも強みです。
バスを手配する
当然の事ながら、バスのグレードはピンからきりまであります。従ってバス会社の質だけでなく、バスのタイプにも考慮が必要です。
豪華なサロンカー・タイプのバスとまでは言いませんが、費用が許すのであればトイレ付きのバスが望ましいでしょう。小学生の長距離移動では、おしっこだけでなく、お腹が痛くなる子や、吐き気をもよおす子が続出するからです。
その他では、昨今、往復のバス代+宿泊施設代+グランド使用料などがセットになった、“合宿パック”というような商品が出ています。かつてチーム合宿の際に費用の詳細検討をしましたが、その当時の関東近辺をターゲットにした商品は、どれもかなり割高でした。バス会社/宿泊施設/グランド管理会社など、それぞれにマージンが発生するので、これはある意味仕方ないところかもしれません。
少しでも費用を安く上げたいのであれば、自分達で個別にバスを手配し宿を探しましょう。合宿などで何年か続けて同じ会社を利用すると、バス会社の営業担当者ともパイプが出来て、それなりに融通がきくようになります。
宿舎を手配する
自力で宿舎を手配する際にも、注意点があります。できれば、“スポーツ合宿”を専門にしている宿舎がいいということです。なぜなら、一般の宿ではまず嫌がられる、“ご飯のお代わり自由”という要望に間違いなく対応できるからです。逆に、“スポーツ合宿歓迎”を謳っているにもかかわらず、“ご飯お代わり対応不能”という宿は“怪しい”と疑ってかかるべきです。多くのスポーツ合宿が、目的として“ご飯をたくさん食べる”ということを掲げている現実を理解できていないのは、専門宿のスタンスとしておかしいからです。
“スポーツ合宿歓迎”の宿は、おかずの献立相談にものってくれます。スポーツ合宿のおかずが、“お酒のつまみ”のようなものばかりでは困りますから。
また、食事については重要な事前作業があります。出発前に各家庭に対して、“お子さんの食物アレルギー有無”についてのアンケートをとるということです。かつて、私のチームにも“イカアレルギー”や“蕎麦アレルギー”の子がいました。朝晩に宿舎で出される料理の中には、見た目ではわからない形で“イカ”や“蕎麦”が練りこまれていることがあるので、これは非常に重要な準備作業になります。“アンケート結果を宿に事前連絡して、別のおかずに変えてもらう”という作業を、絶対に忘れないようにしましょう。
車内での過ごし方
長距離移動のバス車内では、どのように過ごせばよいでしょうか。一般的な少年野球チームにおいて、小学生は携帯電話禁止にしていると思うので、長時間に及ぶ車内での過ごし方にも工夫が必要です。
まず、本/マンガを読ませるのはダメです。小学生は長時間下を向いて書物を読むと、大抵気分が悪くなります。
気の利いたバス会社であれば、子供向けのビデオを何本か揃えています。野球中継がやっていれば、それを流してもらうのもいいでしょう。バス備え付けのビデオデッキの種類を予め調べておいて、我が家にあった野球関連のテープだけ持参して流したこともありました。
その他、ゲームやクイズをやったり、歌を歌わせたりすると、日頃見せない子供達の一面に触れることも出来ます。
夜行バス
夜出発で朝到着の夜行バスも、過去に何度か経験しました。
興奮しているので子供達はなかなか寝付きませんが、心配ありません。22時頃になれば自然と眠くなるのが小学生というものです。但し時間を決めて、車内は灯りを落としてあげましょう。この夜間走行中に大人が多少騒いでも、子供達が起きることはめったにありませんが、イベントの主旨を理解した節度ある行動が必要です。
深夜のトイレ休憩の場合、寝ている子を無理に起こす必要はありません。大抵の子はぐっすりと寝ているので、ビールを飲みすぎた大人だけそっとトイレに行きましょう。
まとめ
大人でも“バス旅行”と聞けば、心躍ります。子供でもその気持ちは一緒です。
長距離移動は、事前準備を含めて“段取り”がポイントです。怪我人/病人が出ないことに留意しつつ、楽しい行程がこなせるように、しっかりと“段取り”して臨みたいものです。