少年野球のセカンドについて(特徴・求められる能力・練習方法)
ヤクルトの山田や広島の菊池を見ればセカンドは華麗なポジションですが、少年野球においてはちょっと事情が異なります。
スタメンを決める際、打順については8番9番に期待薄の子を置きますが、守備位置においてはライトとセカンドにあまり上手でない子を置きます。これはなぜでしょうか?
サードやショートはファーストまでの距離が長いので、ある程度ポテンシャルの高い子でなければ1塁まで送球が届きません。またセカンドは仮にトンネルしたとしても、ライトが捕ってアウトにすることも出来たり、2~3度ポロポロしても拾って1塁に投げればアウトになったりするので、あまり上手でない子を置きやすいのです。
セカンドの特徴
前述のように、セカンドはあまり期待されていません。逆に言うと、“セカンドに巧い子がいる少年野球のチームは強い”とも言えるのです。
巧いセカンドは、華麗にダブルプレイを成立させます。5-4-3や6-4-3が決まると観客席からも拍手が起きます。センター前に抜けそうな当たりを2塁ベース付近で横っ飛びして捕球し、素早く起き上がり1塁に矢のような送球…というプレイも美しいです。
また、バントシフトでファーストが飛び出した後は、素早く1塁のベースカバーに走ったり、2塁牽制では、ピッチャー、ショートと連携して走者を2塁ベースに釘付けにしたりと、守備におけるフォーメーションプレーの重要な一角を担います。
その他では、ライト線や右中間の深い当たりの場合、外野に走って内野返球における中継者(カットマン)の役割も果たします。“普通のチーム”においては、あまり期待されていないのですが、“強豪チーム”を作り上げるためにはセカンドが重要だということを、ここでは押さえてください。
セカンドに求められる能力
“普通のチーム”のセカンドはあまり期待されていないので、レギュラー落ちの危機と常に向かい合わせです。求められるスキルも、他のポジションと比べると低いかもしれません。
よって、“あまり試合に出たことがない子が初めて試合で守るのがセカンド”という場合も多くなります。私も“XX君に試合経験を積ませる”という場合は、セカンドかライトに入れます。
“能力”とはちょっと違うかもしれませんが、私は“一生懸命な子”をセカンドかライトに置きたくなります。そして、外野はある程度足の速さを要求されるので、足が遅ければセカンドになります。
普段の練習において、“下手で動きも悪いけど一生懸命な子”という子がよくいます。こういう子を試合に出す場合は、多くの場合セカンドで使うことになります。
セカンドの練習法
セカンドに限りませんが、小学生の内野守備は“待って捕ってはダメ”です。待った分で内野安打になってしまうからです。特に、ピッチャーとファーストの守備位置を結んだラインの中間点辺りに転がったボテボテゴロの処理は、セカンドが背負う永遠の課題です。打球めがけてダッシュして捕球時は、腰を落として体の正面で掴みファーストに送球します。これを反復練習することで、動きを体に覚えこませます。
セカンドは“声かけ”も非常に必要です。ファースト・セカンド・ライトが守る位置の丁度中間点あたりに、ふらふらっとあがる詰まったフライというのがよくあります。これは日ごろ行っているノックの時にフライ捕球の練習を繰り返し、さらにその都度声かけの練習も積んでいないと試合で必ずボロが出ます。2塁ベース付近のフライも、セカンドとショートの声かけが必須です。
我がチームでも、セカンドとライトが衝突して2人とも救急車で病院に運ばれたことがあります。このような衝突はプロでも起きる位ですから、小学生がぶつかるのはある意味仕方ないのかもしれませんが、“練習によって怪我回避の可能性が高まるものなら…”と思いながら、いつもノックを打っています。
セカンドの守備に慣れてきたら、6-4-3、5-4-3のダブルプレイの練習も重要になります。ここでは、2塁ベースへ入るタイミングと入り方が難しいので、繰り返し練習します。
4-6-3の場合は、捕ってから投げるまでに体の反転が生じ、ここでの身のこなしには野球センスが問われます。ただし、反転を意識しすぎるあまり、捕球の方がおろそかになった結果はじいてしまい、結局ダブルプレイどころかひとつもアウトが取れないというのは良くある最悪のパターンです。
2塁への牽制球については、ピッチャー・ショートと連携してサインプレーで対応します。牽制時、2塁ベースに入る役割をショートかセカンドか固定で決めているチームをたまに見かけますが、試合中にこれを相手チームから見抜かれると2塁走者に大きなリードを許し、さらには屈辱的な3塁盗塁までも喫することに繋がるので、2塁牽制の練習も重要なのです。
まとめ
繰り返しになりますが、セカンドはあまり期待されていません。これは、裏を返せば“巧くなるとそのギャップに皆が驚く”とも言えます。
“へたくそだったあのXX君が、一生懸命練習した結果、華麗に6-4-3を決めた“という光景を、私は何度も目の当たりにしています。